私は生まれつきのこの繊細さゆえに、自分を何度も見失っては、自分の身体がボロボロになるまで誰かのために生きようとしていました。
人に合わせることが難なくできてしまうと、実はそんな風に知らない間に無理をしていたりする。
どこまで出来るのかも、どこまでが限界なのかも分からないから、ひたすらボロボロになるまでやり続けてしまうの。
だけど自分を大事にするとか、自分を知ることがどんなに大事なのかに気づいたら、自分が生きることの意味が見えてきました。
どんなに生きづらくても、どんなに苦しくても、必ずしっくりくる答えがあります。
なぜ自分が分からなくなってしまうのか??
極度に繊細なHSPという人たちは、内気だとか敏感すぎると思われることも多くて、中々一般の人にはその感覚を理解してもらえません。
私も自分がHSPだということが分かってからは、家族に自分のことを理解してもらおうとカミングアウトをしましたが、
「そんなの、みんなだってそうだよ」なんて返されたりして、
その感覚を全くと言っていいほど理解してもらえず「弱い理由を言い訳している」とばかり思われていました。
まぁ今になって思えば、日本人は基本的に繊細な人が多いし、繊細さは遺伝でもあるから理解を得ることができなかったのかもしれません。
ですが、日本人にも人の気持ちを察する「共感能力」が多かれ少なかれあるとはいえ、
一般の人が人の気持ちを「意図的に」理解しようとするのに対し「自然と」汲み取ってしまうのがHSP。
無意識に人の真似をしていたり、あからさまに笑い方や話し方が移ったり、本音で言いたいことが分かっていても、
その場の空気感で急に喋れなくなったり人の意見に気づけば同意しているということもあるの。
一般の人よりもオーラが透けていて意識が同化してしまう、という話も聞いたことがあるけれど、
人と一緒にいる時に自分の考えていることや感情が見えなくなってしまうのが、HSPの人にはよくあることなのです。
だから、自分が分からなくなってしまうのは、他人のことが分かりすぎてしまうからでもあります。
自分の意識の領域をしっかりと理解することが、HSPの人にはとても重要なことなのかもしれません。
一般の人とHSPの感覚の3つの違い
五感
HSPの繊細さは一般人には中々伝わりにくいですが、HSP目線で見るとその違いは明確です。
まず、繊細な人と一般の人は、感じる感覚「五感」に違いがあります。
一般の人にとっては何気ないことでもHSPにとって気になって仕方がないのは、繊細な人の感じるセンサーがとっても敏感だからでもあります。
例えば、人のコソコソ話が必要以上に気になってしまったり、工事の音や車の音が大きな音に感じたり、
携帯やパソコンの液晶画面が眩しくて暗めの設定にしていたり、食べ物は薄味が好きだったりする。
これは「五感(視覚、味覚、聴覚、嗅覚、触覚)」が敏感だからこそ感じる感覚なの。
フワフワした服やタオル、モチモチしたりコリコリした食感の食べ物が好き、
でも、虫のカサカサという動きやブツブツする肌触りのもの、チクチクする服は嫌い、というのも、HSPの人にはよくあります。
また、HSPは自閉傾向が強い「隠れアスペルガー」でもあります。
そのため、狭いところが好きだったり、お気に入りの毛布に包まれると落ち着いたり、暗いところが好きだったりもする。
このような特徴が一般の人に全くないわけではないですが、HSPの場合は自分が感じるものに対してこだわりが強く出てきたりもします。
視点、感覚
HSPは一般の人と比べると、ちょっと変わった視点を持っています。
これもある意味、五感での感じ方に違いがあるからでもあります。
素直で偏見がなかったり人と関わることに重きを置いていないことも、その理由なのかもしれません。
例えば、一般の人であれば常識や人の意見、考え方を頼りに答えを導き出そうとしたり行動したりしますが、
HSPには人に合わせたり、人からの評価を気にするという感覚があまりありません。
そうなると、会議や話し合いの場で突拍子のない発言をして周りの人から反感を買ったり、
人とは違う意見を伝えることで悪目立ちしてしまい「自己中な人」「注目を浴びたい人」だと誤解されてしまう、といったことが起こってしまうの。
また、直感で行動することも多いので、感覚的に発言したことが相手にとって図星だった、なんていうこともよくあります。
相談に乗ったからそれに答えていただけなのに、ふと発言したことがストレートに届きすぎて相手を怒らせてしまったり、悲しませてしまうというのが良い例です。
実際に悪いことをしているつもりはなくても「共感して欲しい」という人に真剣にアドバイスをしてしまって、
結果、相手を怒らせたり傷つけてしまったという経験は、HSPにとってはよくある話なのかなって思います。
思考回路
HSPの思考回路はとても複雑な構造になっています。
アスペルガーは左脳優位と言いますが、隠れアスペルガーのHSPも比較的左脳優位なので物事を複雑を考える人が多いのも特徴です。
哲学的な考え方が得意な代わりに、物事をシンプルに考えることが苦手でもあります。
話し方がまどろっこしくて「何が言いたいのか分からない」と思われたり
遠回しな言い方をしてしまうのはそれが理由。
あとは、何をするにしても「根拠」がないと動けない、という人もHSPには多いかもしれません。
会社の決まりだから、みんなやってるから、という話だけで伝わらないのは根拠が明らかではないから。
「分かるように説明して欲しい」というのがHSPの本音だから、納得がいかないことを無理に押し付けられた時には不快感を強く感じます。
ただ、複雑型な思考回路をしている割には、頭の回転は物凄く早かったりもします。
一般の人が話すような表面的な話(人の名前や住んでいるところ、今どんな仕事をしているかなど)に無関心なのも、
単純な話の結末が想像できてしまったり、人に気を使うような建前上の話が好きではないから。
その代わり、無駄のない本質的な話を好むため、唐突に自分の聞きたい質問をしたり話の前置きを飛ばして結論を求めようとすることもあります。
HSP同士であれば「テンポ良く会話が出来て心地が良い」「話がスムーズで楽」と感じることではあるのですが、
一般の人からすると話の速さについていけなかったり、冷たい人に感じられることもあります。
HSPが軽率だと勘違いされる理由は、実はここにあるのかなって思います。
違いを理解してないと人に振り回される?!
HSPは日本人の中では5人に1人の少数派。
だからこそ意見が割れた時は、
「あなただけ違うのは可笑しい、変だ」
「自分勝手な発言ばかりしている」
「同じ意見の人はいないから、それは間違いだよ」
なんて責められた経験がある人もいたかもしれません。
人の意識と自分の意識が同化してしまうから、自分の意見を見失いやすいし、人の意見がとても正しいように思えてしまう。
そうなると、結果、何でも人に合わせてしまったり、自分に無理をすることがあった人もいたんじゃないかなって思います。
これまでに個人セッションを受けてくれた方たちにも、自分の意見が言えずに周りの人に振り回され続けてきたり、人との違いがイジメの原因になっていたり、
自分を傷つけるような人と無意識に付き合っていたりして、自分を苦しめながら過ごしてきた人が大勢いました。
そんな方たちと向き合っていくと、
「自分を分かってくれる人がいてよかった」
「今まで苦しんでいたのも、意味のある経験だったんですね」
「私はこのまま生きていて良いんですね」
という涙ながらの言葉を聞いて一緒に涙してしまうこともあります。
HSPの島は今はまだとても小さな島だけど、その島は無人ではないしその島にいる人たちで分かち合えることも沢山あります。
HSP同士で会うとそれだけで、心が溶け合って、たとえその人と会うのが初めてだったとしても自然と安心感が芽生えたりもします。
自分と同じ感覚を持った人や良き理解者がいるということがわかるだけでも、HSPはとっても安心するんじゃないかなって思います。
【参考図書】